BE MY BOY
「BE MY BOY」
(1996/香港/基佬40/Queer Story)

奔放な青年サニーと世間にゲイであることを隠している中年ローの、歳の離れたゲイ・カップルの愛の行方を描いたラブストーリー。
監督は『喝采の扉』のシュウ・ケイ。
ああ、もう十年前なのねえ・・・。
<香港で初めて真実のゲイを描いた作品>
といわれている作品。
このところの 我的香港電影再熱 で、ああ、又みたい! と思っていた一作。
うちの 「ビデオ大革命」で、捨てたと思っていたら、押入れにありました。
これは、ひとことで言うと、ゲイのカップルを主人公にした、すったもんだ話である。
しかし、香港のゲイ事情がよく描かれていて、リアリテイある物語になっている。
<我的香港電影 BEST 3> のひとつだな。
以下、思い入れがある作品なので、ちょっと長いです。
― 恋人の条件?
絶対口ひげ。
こすりつけられると、チクチクしてくすぐったい。
まるでジャングルに分け入って行くみたいな興奮がある。
この気持ちわかる?
というサニー(陳小春 チャン・シウチョン)の語りで始まる。
おおーっ、<口ひげ専> かよ!
マニアックだなあ。
(しかも、彼は <オヤジ専> でもあった)
― だけど、もう終わってしまった。
8年なんてあっけないものね。
死ぬまで別れたくないのに。
あたし、どうすれば・・・。
そして、画面が切り替わり、ロー(林子祥 ジョージ・ラム)の結婚式の支度風景が映し出される――
ロー(46)は、結婚カウンセラー、サニー(26?)は美容師。
充実した仕事、幸せそうな同棲生活、理想的なカップルとして描かれる。
いちゃこらこいている二人が、バカップルだが微笑ましい。
しかし、二人の間には亀裂が・・・。
それが冒頭のせりふである。
これは、非常に良質な作品である。
この二人を取り巻くキャラクターやエピソードの肉付けがよく出来ていて、奥行きがあり、まったく飽きさせない。
なによりこの作品の成功は、キャスティングにある。
主役の二人が、美男美女 いえ、美男美男でないところがいい。
それでいて、ジョージ・ラムの、知的で清潔感のあるオヤジキャラ。
コハル(日本人ファンにはこう呼ばれている)は、おへちゃだけどとってもチャーミングだ。
ヤキモチ焼いて、ぷんすか拗ねたとこなんか、超キュート☆
この話には、もう一組 ゲイのカップルが登場する。
それがローの親友 大学教授のキム(毛俊輝 モウ・ジョンファイ)と、旅行作家のKK(呉鎮宇 ン・ジャンユー)のカップル。
こちらは年齢層高目ながら、理想的な美男美男カップル。
オヤジスキーファイル 分類:教授 ピッタリ!
そして、ジャンユー、かっこいい~!
葬儀場の外で一人涙を流すジャンユーの演技が又泣けるのよ~

毛俊輝 って、香港演藝學院榮譽院 の先生なのね。
そりゃたしかに、分類: 教授だわ!(好みのタイプ☆)
この二人に関する問題で、ローとサニーの亀裂は決定的なものとなる――
キムは闘病の末、エイズで亡くなる。
世間体を考えたキムの親族は、KKの葬儀への参列を拒む。
しかし、まっすぐなサニーは、KKに参列させようとする。
(「KKは、キムの未亡人も同然なんだから当然よ」というサニーのセリフに、あら、まあそういう役割分担なのねえ・・・ふふふ と)
両者小競り合いとなった時の、ローの保守的で優柔不断な態度に、サニーは激怒する。
そして、情けない彼に愛想を尽かし、サニーは家を出て行く。
二人にはさまざまなギャップがあった。
サニーは自分に正直、奔放に生きる 「オープンリーゲイ」、一方、ローは保守的な「クローゼットゲイ」。
ローは、家族にも周囲にも、ゲイであることをひた隠しにして生きて来た。
性格もさることながら、年代的なものもあるだろう。
要するに、価値観の相違なのだ。
どんなに愛し合っていても、この問題は、乗り越えられないものなのか?
深く考えさせられる。
この後、情けないローは、サニーに去られた寂しさから、幼馴染のアチュンにプロポーズしてしまう。
(ほんとに情けないよ~)
それが、冒頭の結婚式のシーンである。
・・・
そんなこんながいろいろあり、
ラスト、サニーを探して夜の街をさまようロー。
とある店で、やっとみつけたサニーに 「やり直したい」と請うのだが、拒絶される。
そして、自らの思いを歌に託し、歌うは サミュエル・ホイ 不朽の名作 <難忘你>(=忘れられない)! (玉置宏か、浜村純 の調子で)
もう、このカラオケの熱唱が泣けるのよ~(涙)
哀愁のメロデイと、歌詞がまたぴったりなのよねえ。
まあ、くさい歌詞なんだけど、それが又泣けるのよ。
特にセリフの語りがさ(涙)
しかも、老眼鏡をかけて、手元の歌詞を見るとことか、オヤジスキーには、たまんねーっす!
シュウ・ケイ監督は、このカラオケシーンの為に、ジョージをキャスティングしたのではないかとさえ思う。
このストーリーのクライマックスであるこの歌を、情感たっぷりに(かつシロートくさく)歌い上げられるのは、余人を以って替え難い。 哀愁の熱唱!
さて、二人はどうなるのか・・・?
これは、私にとって、香港映画のエポックメイキングとなった作品。
それまで漫然と見ていた香港映画だったが、これ以来突っ込んだ見方をするようになった。
この ロー=林子祥 という人は、一体どういう人なのか?
ここでは情けないオヤジだったけど、歌も歌ってるし歌手なのか?
と、興味が湧いて、調べたら、このジョージ・ラムは、ビッグ・シンガー兼俳優とわかった。
(→ それからずっぽり、ジョージにはまってしまい、CDとか買ったりして)

ほんとはステキな ジョージ!
劇中、サニーの店の客 レコード会社社長 カールが、サニーを口説く件り。
――今度、アーロン・クオックのコンサートに行こうよ。
――いやあよ、あんな ナマっ白いの。私の好みは チョイ・カムコンよ!
この時、私は チョイ・カムコン という人を知らなかった。
後日、彼を知った時の オドロキ! 一人大爆笑!!
↓
これが、チョイ・カムコン

この人は、三級片(=ポルノ映画)キングなのね

モザイクが気になる~
一体何を考えているのじゃ、このオヤジ?
ま、サニーは、口ひげ専、オヤジ専 だから、まさに好みのタイプ!ってことよね。
又、時期を同じくして、ナイナイ 岡村が主演した香港映画「無問題」の監督を見た時の
オドロキ!
あれ~、あのレコード会社社長のカールじゃん!! → 張堅庭(アルフレッド・チョン)
(香港映画は、監督が俳優としてよく出る)
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っていうことで、わかって来るといっそう、香港映画って、おもしろいなあ、楽しいなあ、と思えるようになった。
カウンセラー ローの元に相談に来たクライアント リッチな中年女性。
夫が深圳に愛人(♂)を囲っていて、そこに乗り込むというおばはんに同行することになるロー。
なんでも、この当時、深圳というのは、香港の男が、男を買いに行くメッカだそうな。
(今はどうなのだろうか?)
この奥さんと愛人との対決もワクワクドキドキした。
実はこの後、深圳で知り合った <ウリ専ボーイ>と、ローは浮気するのだった。
香港の自宅に帰ってきたローは、着ている服を下着まで全部脱いで洗濯機に突っ込むシーンなど、みょーにリアル。
(浮気がばれての痴話げんかも、「亀裂」 の 一因となったのだった)
終盤、ローがとうとう父にカミングアウトするシーンは感動的。
四十半ばの息子に、突然カミングアウトされた父親のとまどい、そして・・・。
その辺の描写もていねいでしんみりします。
又、ラストがとっても微笑ましく幸せな気持ちになれるのよねえ。
この後、エンディングで流れる、” シンガーとして ” の ジョージ・ラムが歌う<難忘你>が、超かっちょぶー!
アレンジもムーディでステキです。
カラオケでのトーシロくさい歌い方と全然違うのです。
そう考えてみたら、この作品の出来以前に、オヤジスキーのツボヒット!ってことだったんだなあ。 (今頃言うか!?)
尚、蛇足ながら、このシュウ・ケイ監督作品には、この前に、
<喝采の扉 虎度門>(’96) があり、こちらとちょっとしたリンク作品になっている。
広東オペラの大女優が主人公で、再婚相手の連れ子が 「レズビアン」 という設定。
この二作品はびみょーに <対> になっているのだ。
(ローの父親は、このオペラの元劇団員)
結婚式当日、今は引退してオーストラリアにいるこの大女優から、ローにお祝いメールが届く。 (このメッセージがいいこと言ってるのよね。 また、泣けちゃう)
又、前作に出演したスターたちが、結婚式にカメオ出演している(アニタ・ユンとか李子雄とか)のもお楽しみ。
これも、秀作である。
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